ビットコイン・仮想通貨は、デジタルなお金?通貨?貨幣?

ビットコインをはじめとする仮想通貨に関する話題では、通貨や貨幣の話がよく出てきます。

 

例えば、

「ビットコインは通貨と呼べるのか?」

「ビットコインは法定通貨と比べると〜」

等々。

 

ニュース記事でも、このような見出しで登場したり。

ビットコイン「通貨ではない」初の政府見解:日本経済新聞(2014/3/7付)」

仮想通貨を「貨幣」認定 金融庁、法改正で決済手段に:日本経済新聞(2016/2/24付)」

 

お金、通貨、貨幣といった単語はよく見るし、「お金」は特に普段から言葉として使うけど、それぞれの違いってよくわかっていない人も多いと思います。

 

ビットコイン、仮想通貨を深く理解する上では、通貨や貨幣の定義を知っておくことは重要だと思いますので、

今回は、お金、通貨、貨幣、それぞれの違いの整理と、ビットコインはそれらの定義の中でどこに位置付けられるのかを確認したいと思います。

お金、通貨、貨幣の定義とは

まずは、お金、通貨、貨幣の定義について確認していきましょう。

 

手っ取り早くwikipediaの情報を比較してみます。

 

<お金>wiki
お金とは、現代の日本においてお金(おかね)は、次の事象を指しうる。(広辞苑)
・通貨
・貨幣

 

<通貨>wiki
通貨(つうか、英: currency)とは、流通貨幣の略称で、国家もしくは、その地の統治主体によって価値が保証された、決済のための価値交換媒体。

政府は租税の算定にあたって通貨を利用する。

モノやサービスとの交換に用いられる「お金(おかね)」を、経済用語では貨幣、または通貨と呼ぶ。通貨は、現金通貨と預金通貨に大別され、前者は紙幣・硬貨(補助紙幣)であり、後者は普通預金・当座預金などの決済口座である。

<貨幣>wiki
貨幣(かへい、英: money)とは、
・商品交換の際の媒介物で、価値尺度、流通手段、価値貯蔵の3機能を持つもののこと。(広辞苑)
・商品の価値尺度、交換手段として社会に流通しているもので、またそれ自体が価値あるもの、富として蓄蔵を図られるもの。(デジタル大辞泉)

 

お金は、通貨、貨幣の総称。

通貨は、流通貨幣の略称であり、国家(または統治主体)によって価値が保証された決済用の価値交換媒体。

貨幣は、貨幣の三大機能(価値尺度、流通手段、価値貯蔵)を持つ商品交換の際の媒介物。

 

これらの定義だけ見ても、先ほどの日経新聞の記事の内容にあるとおり、

・ビットコインは通貨ではない(国家によって価値が保証されていない)

・仮想通貨は貨幣である(貨幣の三大機能の基準は満たしている)

という内容も理解できてくると思います。

なぜ、ビットコインは通貨ではないのか?

仮想通貨、暗号通貨、と名前に「通貨」が含まれてるのに、「ビットコインはなぜ通貨ではないんだ?」と思われる方もいるかと思います。

 

ビットコイン、仮想通貨が通貨であるか否かという文脈では、主に以下の2つの情報を基に語られることが多いのでチェックしておきましょう。

 

①2014年2月大久保勉参議院議員が提出した「ビットコインに関する質問主意書」に対する政府の「答弁書」

参議院議員大久保勉君提出ビットコインに関する質問に対する答弁書

この答弁の中で、「法律で『通貨』と定めているものには含まれないため、他人コインは通貨ではない」と断定しています。

 

②2017年4月に施行された「改正資金決済法」

資金決済に関する法律(平成21年法律第59号)

資金決済に関する法律施行令(平成22年政令第19号)

仮想通貨交換業者に関する内閣府令(平成29年内閣府令第7号)

上記リンクの法律の内容を読み解くには専門家でないと難しいので、 政府広報のわかりやすい案内にて確認しましょう。

「仮想通貨」をより安全に使うために。改正資金決済法がスタートしました(政府広報オンラインwebサイト)

改正資金決済法施行-仮想通貨の法的規制-(国民生活センター)

 

政府広報の方からいくつかピックアップします。

  • 仮想通貨は、インターネット上で自由にやりとりされ、通貨のような機能を持つ電子データです。
  • 資金決済法において、仮想通貨は、次の性質をもつ財産的価値をいいます。
    ・不特定の者に対して、代金の支払いなどに使用でき、かつ法定通貨(日本円や米国ドルなど)と相互に交換できる
    ・電子的に記録され、移転できる
    ・法定通貨又は法定通貨建ての資産(プリペイドカードなど)ではない
  • 仮想通貨は、ショッピングでの支払いに利用できるなど、法定通貨と似た機能を持っています。こうした点から、仮想通貨を法定通貨と誤解する人がいますが、そうではありません。仮想通貨を利用する上で必ず理解しておきたいことは、「仮想通貨は、円やドルなどの法定通貨ではない」ということです。
  • 仮想通貨は、国家やその中央銀行により発行され、その価値が保証されているものでもありません。仮想通貨は、その価値を信頼する人たちの間でのみ通用するものであり、法定通貨のようにどこの店舗でも支払い等に利用できるとは限りません。

 

まとめると、

ビットコインをはじめとする仮想通貨は、法律的には「価値交換が可能な決済手段の一つ」としては正式に認められています。

ビットコインは、「通貨」ではないものの、「通貨に準じるもの」として位置づけられており、国家や中央銀行の保証はなく、その価値を信頼する人たちの間でのみ通用するもの、とされています。

ビットコインは貨幣なのか?

前述のとおり、経済学における「貨幣」とは、商品交換の媒介物であり、価値尺度、流通手段、価値貯蔵の3機能を持つものと定義されています。

 

この貨幣の定義である、商品交換の媒介物であるか、三大機能(価値尺度、流通手段、価値貯蔵)、の4点にビットコインが当てはまるのかについて、確認していきましょう。

 

それぞれの定義についても、今回もwikipediaを参考に見ていきます。

①商品交換の媒介物であるか(交換の媒介)

貨幣を介する社会では、計量可能なモノと貨幣を相互に交換することで、共通に認められた価値である貨幣を介することで取引をスムーズに行える。これに対し、貨幣を介さない等価交換においては、取引が成立する条件として、相手が自分の欲しいモノを持っていることと同時に、自分が相手の欲しいモノを持っていることが必要となる。

法定通貨のように日本円であれば日本国内どこでも使えますが、ビットコインは、その価値を信頼する人たちの間でのみ通用します。

ビットコインを使って商品交換できる場が限られているため、非常に限定的ではありますが、商品交換としてビットコインを使って売買取引は可能ですので条件を満たしていると言えます。

 

②価値の尺度

貨幣は、計量可能なモノ(財)の交換価値を客観的に表す尺度となる。これによって異なるモノの価値を、同一の貨幣において比較ないし計算できる。例えば、本20冊と牛1頭といった比較が可能になり、価格を計算できる。

現在は、ビットコイン建てでモノやサービスを購入することができ、ビットコインを基準として交換価値を計算することができます。

2010年5月22日に、ビットコインを使った最初の取引とされている「ビットコイン・ピザ・デー」(1万BTCでピザ2枚を交換した)、この時からビットコインは価値の尺度の機能を持ったと言えるでしょう。

 

③流通手段(支払)

計量可能なモノを渡し、責務を決済する。初期社会では特に示談金、損害賠償、租税などの制度と関連して生じた。

円、ドル、ユーロなどの法定通貨と比べると、かなり限定的ではありますが、世界各国でビットコインで決済できるシーンは存在しており、徐々に増えている状況です。

 

④ 価値貯蔵(価値の蓄蔵)

計量可能なモノを貨幣に交換することで、モノの価値を蓄蔵することができる。例えば、モノとしての大根1本は腐敗すれば消滅するが、貨幣に換えておけば将来大根1本が入手可能となる。あるいは「大根1本の価値」を蓄蔵できる。ただし、自由な取引の元では通貨価値ないし物価変動により貨幣で入手できるモノの量は増減することがある。

ビットコインはデジタル通貨として、価値の貯蔵において物質的な面では非常に優れています。腐敗したり、紙幣のようにボロボロになったりしません。

しかし、将来の一定時点まで「安全に」価値を貯蔵しておくことができるかという点では、現状、データ消失は度々発生していたり(ハッキング、セルフGOXなど)、管理方法が難しいという面があるので、法定通貨に比べると弱い面もあります。(法定通貨も盗まれたり、火事で紙幣が消失したりしますが)

 

まとめると、

ビットコインは「貨幣」の条件をすべて(かなり限定的ながら)満たしており、ビットコインは「貨幣」であると言えることがわかります。

ビットコインが注目される理由がわかってくる

さて、ここまで通貨、貨幣の定義の確認と、ビットコインは通貨なのか?貨幣なのか?について確認をしてきました。

 

通貨や貨幣への理解ができてくると、おのずとビットコインが「なぜ注目されてるのか?」「みんなビットコインに何を期待しているのか?」といった点も理解しやすくなってきます。

 

ビットコインが注目される機能は主に2つ。(非中央集権というキーワードは、ビットコイン、仮想通貨を語る上では非常に重要ですが、説明はまた別の記事にて)

 

1つ目は、

「国家に依存することがない非中央集権的な価値交換が可能な決済手段として」

ビットコインのメリットでよく言われていることの1つに、「全世界のどこへでも安い手数料で送金ができる」ことがあります。

最近ではスケーラビリティ問題による送金手数料の高騰が問題になっていますが、(ここでは詳細割愛しますが)

全世界には、現在も銀行口座を持てずに離れた場所への送金に困っている人がたくさんいます。または何かしらの事情で銀行を通して海外送金ができずに困っている人もいます。(悪い活用が多いですが、悪くなくても困っている人もたくさんいるという意味で)

そういった送金需要へのソリューションとして、非中央集権な決済手段として注目されています。

 

2つ目は、

「国家に依存することがない非中央集権的な価値の保蔵手段として」

簡単に言うと、「資産」としての利用として注目を集めています。

現在ビットコイン、仮想通貨を持っている人の多くは、1つ目の決済手段が目的ではなく、将来の値上がりを見越した投資(あるいは投機)を目的としている人でしょう。

「資産」としての利用というと、価値の値上がり面のイメージが強いと思いますが、国家に依存しない非中央集権型の資産として、あらゆる金融資産の中でもおもしろい資産と言えます。

どういうことかというと、例えば、日本が何かしらの原因で国家破綻したとしたら、日本人が持っている法定通貨の日本円の価値は、外国の通貨(ドル、ユーロ)などからみると、価値は暴落します。輸入品の価格は高騰するでしょうし、日本円で買えるものは非常に限られてくるでしょう。

これは日本に限らずどこの国にも言えることです。通貨は国家から保証されている反面、保証元の国家がダメになったら一緒にダメになってしまう性質を持っています。

それに比べて、ビットコインはどの国家にも依存しない非中央集権型の貨幣です。(もちろん、ビットコインには価値がないと全世界の人が思って手放してしまえば、先ほどの円と同様に価値は暴落してしまいますが。あと、現時点では、主要国家の規制や動向によって、ビットコイン、仮想通貨の価格、価値が乱高下している状況ですので、非中央集権といえど、様々な要因で影響を受けている問題もあります。)

2013年のキプロス・ショック(キプロスの金融危機)で、国家の信用がなくなり国民がビットコインを資産の避難先として選ばれたケースは、まさにビットコインの非中央集権型の資産としての機能が注目された結果と言えるでしょう。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

 

ビットコインを値上がりを期待した資産を増やすための手段としてだけでなく、通貨として、貨幣として、それぞれ捉えて考えてみると、見えなかったものが見えてくると思います。

当然、ここでは紹介しきれないくらい通貨、貨幣に関しては奥が深いので、今後も学んでいきたいと思います。