仮想通貨の税制、雑所得、所得計算方法、節税方法、必要経費についておさらい。

今回は、仮想通貨に関する税制、雑所得、所得計算方法、節税方法、必要経費について、おさらい程度にまとめたいと思います。

 

なお、今回の記事は税金に関わる内容のため、参考程度として、実施、行動なさる場合は税理士など専門家に相談やご自身の自己責任のもと情報をご活用ください。

仮想通貨の税制、所得計算方法についておさらい

仮想通貨の利益は、原則として「雑所得」に区分する(個人事業、法人として事業所得に該当する場合を除き)と2017年4月に国税庁より発表がありました。

国税庁:ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係

 

雑所得の最高税率は55%(所得税最大45%+住民税10%)。

最高税率が適用される金額は数千万の利益になりますが、他の事業所得などの所得に比べて、比較的税率が高い所得として、「仮想通貨はたくさん儲かるけど、税金もたくさん納めないといけない」といった認識の人が多いかと思います。

 

仮想通貨の利益計算方法については、仮想通貨税金計算webサービスもたくさん出てきていますし(例えば「CRYPTACT」とか、ネット上にも計算方法を説明しているwebサイトがたくさんありますので、それらを参考に。

 

いずれの計算方法も、2017年12月1日に国税庁より発表されたQ&Aスタイルの仮想通貨に関する所得計算方法についての資料を基にしています。

国税庁:仮想通貨に関する所得の計算方法等について

仮想通貨の利益は「雑所得」。雑所得のおさらい

雑所得の計算方法は、「総収入金額 ー 必要経費 = 雑所得」となります。

国税庁:雑所得とは

 

雑所得の金額が算出できたら、給与所得などの他の所得の金額と合計して総所得金額を求めた後、納める所得税の税額を計算します。

 

所得税の税額の計算方法は以下の通りです。

①収入 ー 必要経費 = 雑所得

②雑所得 + 他の所得(給与所得など) ー 各種所得控除 = 課税所得金額

③課税所得金額 × 税率 ー 課税控除額 = 所得税額(所得税として納める税額)

仮想通貨の利益「雑所得」の節税方法とは?

では、本題に入りますが、

仮想通貨の利益である「雑所得」の節税方法は主に2つしかありません。

 

1つ目は、「必要経費」を増やすこと。

2つ目は、「各種所得控除」を増やすこと。

 

前述の所得税の計算方法の中で、マイナスされていた2つの項目の金額を増やすというわけです。ちなみに、課税控除額はあらかじめ課税所得金額に応じて決まっている金額のため増やしたり減らしたりできる類の項目ではありません。

 

注意点としては、必要経費も実際にお金を使う行為ですし、各種所得控除も国から認められたお金の使い方をした分の金額を控除してくれるというものですので、ただただ必要経費、所得控除の金額を増やすことが本質ではありません。

 

金額は仮ですが、例えば、必要経費、所得控除を何もしないで計算された50万円の税金を納めるのか、必要経費を計上して、所得控除も算入した計算の結果、25万円の税金を納めるのか、

といった、お金の使い方の話になるので、自分に状況や価値観にあった節税方法を実践してもらえればと思っています。

雑所得の必要経費とは?

節税方法の1つめ、「必要経費」についてのおさらいです。

国税庁webサイトでは、必要経費について以下の内容で説明されています。

必要経費に算入できる金額
事業所得、不動産所得及び雑所得の金額を計算する上で、必要経費に算入できる金額は、次の金額です。

(1) 総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
(2) その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額

国税庁:やさしい必要経費の知識

 

簡単に説明すると、仮想通貨の利益を得るために必要なモノや情報などを購入した費用を「必要経費」として計上することができます。

例えば、

・仮想通貨取引所での手数料(取引や入出金など)
・仮想通貨に関する書籍代、有料情報(メルマガ、オンラインサロン、など)
・仮想通貨に関するセミナーへの参加費、交通費
・仮想通貨トレード専用、マイニング専用のPC、モニター、スマートフォンなど

といったもの。

 

仮想通貨に関する書籍代としてなら、こちらの記事「仮想通貨・ビットコイン・ブロックチェーンの勉強におすすめな本のまとめ」で紹介した書籍であれば必要経費に計上できる可能性は高いです。

 

会計ソフトfreeeのブログで、サラリーマンの方の副業としての経費についてわかりやすい記事があったので、ぜひそちらも参考に。

副業で経費は認められる?副業の経費について

 

これらは一例ですので、例えば、仮想通貨取引のためにシェアオフィスを借りてそこでは仮想通貨の投資や情報発信などをしている、としてシェアオフィスの賃料を必要経費として計上するなどもあり得ます。

注意点としては、仮想通貨とは関係ないものは当然必要経費に計上できません。仮想通貨以外の書籍代などは必要経費になりません。

また、5万円のPCを買って仮想通貨取引に使っているからと必要経費にしたけど、そのPCで他の仕事やネットサーフィン、動画鑑賞など、仮想通貨以外の用途でも使用している場合は按分といって、おおよその使用率に応じた金額しか必要経費として計上できません。例えば、PC使ってる時間の半分は仮想通貨関連で使っているならば2万5千円が必要経費となります。

 

これらの必要経費になるか、ならないか、の線引きについては、税務署の担当者判断になりますので、「自分はこう判断して必要経費に計上した!」がまったく通用しない場合も多々あるので気をつけましょう。

不安な人や慎重な人は、税務署の判断に詳しい税理士の判断に従って必要経費の計上有無を判断する人が多いです。

 

「必要経費」の計上によって、以下のような計算で雑所得の金額を減らすことができます。

 

例)収入(仮想通貨の利益100万円) ー 必要経費(20万円) = 雑所得(80万円)

 

上記のように、必要経費を計上して、雑所得の金額を少なくすることで節税するわけですが、当然、必要経費にはたいてい限界がありますし、大きな利益を得た場合には、必要経費で節税できるのはごくわずか。

仮想通貨で、数百万、数千万、数億円、と利益が出た場合、必要経費を計上していくにもすぐに限界に到達するでしょう。マイニング設備に多額の費用をかけるとかしない限りは。

 

そこで注目すべきは、「所得控除」となるわけです。

 

今回はここまで。

「所得控除」はたくさんの方法がありますが、中でも個人的に注目している「ビットコイン寄付控除」「エンジェル税制」について、以下の記事でまとめていますのでぜひご覧ください。

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